百田尚樹の「モンスター」のあらすじと内容を解説する

百田尚樹の小説「モンスター」を紹介します。

 

この本のテーマは「容姿と幸せ」でしょう。容姿に恵まれていない女の子が整形を繰り返して女の幸せをつかみにいくお話です。

 

恋愛小説と呼ぶにはあまりに残酷でヒロイック。下剋上の物語であり、アドベンチャー的な小説でしょう。

あらすじ

ストーリーはある女の子が、幼いころの「白馬の王子様」と大人になって再会して射止めようとする物語。

 

 

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これだけ聞くとドラマチックな恋愛小説です。

 

しかし彼女は生まれた瞬間から「超ブサイク」としてこの世に生を受けます。そこから始まる主人公の女の子の人生は、ウルトラスーパーハードモード。

 

女の子はその容姿が恵まれないことで、泥水をすすり地を這うような思春期を過ごして、人生に絶望していきます。この辺りの描写は読んでいて本当に辛い。

 

そして、その中で、幼いころに出会った白馬の王子様と再び会おうと、決意するのです。

 

「何が何でも私は女としての幸せをつかむんだ」

 

理不尽に全てを踏みにじられた人間の、それ以外の全てを失ってでも成し遂げてやる、という決意。

 

そんな決意のもとで…彼女は整形に手を染めます。

 

「恋愛は性格で好きになるものだ」

「整形は親からもらった身体に傷をつけることだからよくない」

「容姿が恵まれていたら、人生は幸せそのものである」

 

どうでしょうか。こういう世の中の考え方ってありますよね。

 

彼女は整形を通じて、こういった観念に何度も阻まれ、それを打ち破っていきます。

 

かりそめの偽善にまみれた世界に対して立ち向かい、憧れだった白馬の王子様のもとへと飛んでいきます。

解説

男女ともに容姿に関して誰もが一度は悩むこと、あると思うんですよね。そういう人が読んだら、きっと殴り倒されるような衝撃に遭うはずです。絶望ですよマジで。

 

容姿に恵まれていないと自覚する女の子が読んだら、どんな気持ちになるんでしょうか。きっと精神が崩壊してしまうと思います。

 

「容姿が優れていると有意に得をするのが女性。一方で男は容姿が優れていても大して得をしないが、容姿が劣っているときに被る不利益は男のほうが多い。」みたいな容姿に関するガチの情報。

 

整形でどのように顔が変わっていくか、費用や性風俗産業の描写など、すべてがリアリティをもって迫ってきます。

 

世界観が緻密で、一貫していてめちゃくちゃ読みやすくて面白い。

 

あなたの容姿がこの先の人生にどのような影響をもたらすのか、そんなことを一回真剣に考えられるきっかけになる小説です。ぜひ読んでみてください。