小説『永遠の0』をご紹介します。
第10回本屋大賞受賞作。累計発行部数546万部という驚異的な数字をたたき出している作品です。2013年には文庫本の最高発行部数を更新しました。
この小説は戦争を肯定的に描いているとして批判的に論じられることもありますが僕はそうは感じませんでした。
百田尚樹はインタビューで「永遠のゼロで伝えたかったことは『生きることのすばらしさ』だった」と語っています。
本当にその通りなんですよね。戦争は機械ではなく、人間によって引き起こされるのだということ、命を賭けて信じる何かや誰かのために戦ったということがひしひしと伝わってきます。
人間は愚かでどうしようもないけれど、愚かだからこその生の輝きが描かれた小説です。分厚いけど、全然読みはじめたら気になりません。
「物語の終わらせ方」に注目してください。戦争という救いの無さそうな重いテーマにどのようにして希望を見出すのか。
「それでも人間が生きることっていうのは素晴らしいんだ」と思わせてくれるラストまでページを読む手が止まらない最高の小説です。